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見本 触媒学会からの出版物 | ご案内・情報 | 触媒学会

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Academic year: 2018

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(1)

触媒技術の動向と展望

2018

創立

60

周年記念号

目次

第一編

研究動向

1.触媒学会の60年 -「触媒」・「触媒討論会」から振り返る-

東京工業大学名誉教授、触媒学会元会長 小野嘉夫 3

2.触媒-これまで、そしてこれから

三井化学(株)、触媒学会副会長 藤田照典 26

3.分野別触媒研究の現状と将来動向

[3-1] 金属触媒分野

金/パラジウム合金ナノ粒子触媒による炭素-ハロゲン結合活性化

大阪大学 櫻井英博 43

[3-2] 酸化物触媒分野

新しい金属酸化物の触媒作用

東京工業大学 鎌田慶吾 53

[3-3] 生体・錯体触媒分野

プロピレン/極性モノマー配位共重合触媒の進展

東京大学 伊藤慎庫・野崎京子 64

[3-4] 有機化学分野

アルケンのヒドロシリル化用触媒研究の最新動向

九州大学 永島英夫 73

[3-5] 高分子分野

バナジウム錯体触媒によるオレフィン重合・二量化反応高性能分子触媒の創製と活 性種解析

首都大学東京 野村琴広・林原 瞳 84

[3-6] バイオマス分野

バイオマス由来糖類からの基幹化学品原料の合成

北海道大学 中島清隆 97

[3-7] 先端分野

特殊反応場における触媒的有機合成

静岡大学 間瀬暢之 107

[3-8] キャラクタリゼーション分野

動的核分極法核磁気共鳴(DNP NMR)測定によるシングルサイト不均一系触媒の構 造解析

(2)

4.工業触媒注目技術

[4-1] 環境負荷の少ないアクリル酸一段合成プロセスの開発

東亞合成(株) 屠 新林・丹羽 正雄・野村 聡一 129

[4-2] 1-ヘキセン選択製造触媒の開発

三井化学(株) 市川真一郎・石井聖一・中野隆志・藤田照典 136

[4-3] エチレンとアクリル酸エステルの共重合

三菱ケミカル(株) 清水史彦 146

[4-4] 固体資源のガス化による水素・合成ガス製造およびその有効利用

(株)IHI 渡邉修三・鎌田博之 157

5.2017年度の海外の触媒技術動向

(株)三菱ケミカルリサーチ 大竹正之 166

6.平成29年の科学技術政策動向および触媒関連国家プロジェクトの状況

産業技術総合研究所 花岡隆昌 241

7.2017年度の国内触媒技術関連動向

年鑑出版委員会、(株)三菱ケミカルリサーチ 大竹正之 252

第二編

国際会議の記録

1.国内開催国際会議から

[1]国際シンポジウム“Future Earth”エネルギー課題に資する新奇なナノ物質・触媒・表

理化学研究所 石黒 志 335

[2] 16th Korea-Japan Symposium on Catalysis & 3rd International Symposium of Institute for

Catalysis

北海道大学 大友亮一 337

[3] The 2nd International Symposium on Hydrogen Energy‒based Society

首都大学東京 宍戸哲也 339

[4] The 8th Japan-China Workshop on Environmental Catalysis and Eco-Materials

名古屋工業大学 羽田政明 341

[5] Osaka-Kansai International Symposium on Catalysis (OKCAT2017)

大阪大学 森 浩亮 343

2.海外開催国際会議から

[1] 231stECS Meeting (米国電気化学会第231回大会)

東京大学 影島洋介 345

[2] The 13th European Congress on Catalysis (EUROPACAT 2017)

北海道大学 鉄地河原浩太 347

[3] 8th International Symposium on Acid-Base Catalysis (ABC-8)

東京大学 林 峻 349

(3)

第三編

触媒学会活動記録

1.表彰受賞者リスト 353

2.平成28年度触媒学会学会賞(技術部門)受賞技術

担体との相互作用を制御した焼成型高活性脱硫触媒の開発と実用化

JXTGエネルギー(株) 関 浩幸・吉田正典 354 日揮触媒化成(株) 田河勝吾・香川智靖

3.平成29年度触媒討論会の記録 362

4.第119回触媒討論会注目発表

[1] 水素ドープ型モリブデン酸化物の表面プラズモン共鳴が触媒反応に及ぼす影響

大阪大学 桑原泰隆・森 浩亮・山下弘巳 365 ベルリン工科大学 CHEN, Hefeng

[2] 金の触媒作用における新しいメカニズムの提案―ナノ双晶の役割―

東北大学 蔡 安邦・亀岡 聡 366 スロバキア科学アカデミー KRAJCI, Marian

5.触媒Vol.59(2017)総索引 367

6.部会・研究会アニュアルリポート

[1] 参照触媒部会 371

[2] ファインケミカル合成触媒研究会 373

[3] 有機金属研究会 375

[4] コンピュータの利用研究会 377

[5] 生体関連触媒研究会 379

[6] 界面分子変換研究会 381

[7] 重合触媒設計研究会 383

[8] 高難度選択酸化反応研究会 384

[9] 水素の製造と利用のための触媒技術研究会 386

[10] 天然ガス化学的有効利用研究会 388

[11] 規則性多孔体研究会 389

[12] ナノ構造触媒研究会 391

[13] 燃料電池関連触媒研究会 393

[14] 光触媒研究会 395

[15] 環境触媒研究会 396

[16] 工業触媒研究会 398

[17] バイオマス変換触媒研究会 400

[18] 固体酸触媒の原理と応用研究会 401

[19] 元素戦略研究会 402

7.各支部活動記録

[1] 北海道支部活動記録 403

(4)

第四編

工業触媒の技術と動向

1.触媒工業の概況について

触媒工業協会 岩田泰夫 413

2.エンジニアリング会社から見た最近のプラントビジネスとプロセスの動向

(株)IHI 水上範貴 421

3.触媒が関わる主要プロジェクトの動向

年鑑出版委員会 432

第五編

工業触媒リスト

445

執筆者索引

495

編集後記

496

(5)

3. 分野別触媒研究の現状と将来動向

3-7

]先端分野

特殊反応場における触媒的有機合成

静岡大学大学院総合科学技術研究科

間瀬暢之

1.はじめに

「一般(普通):いろいろの事物・場合に広く認められ、成り立つこと。」の対義語は「特 殊(特別):普通のものと異なっていること。平均的なものを超えていること。」である。

1)

フ ラスコ中の有機合成における一般的な反応場は有機溶媒であり、メタノール、ジエチルエー テル、酢酸エチル、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミドなど多種多様な物性を有する媒 体中で結合形成・開裂反応が進行する。我々は有機合成に一般的に用いられてこなかった水、 超臨界流体、ファインバブル、マイクロ波、チューブフローなどの特殊反応場における触媒 的合成手法の開発に取り組んできた(図1)。これらの研究成果について概要を紹介するとと もに、本技術の展望について希望を交えながら述べたい。なお、関連研究のすべてを紹介で きないことを予めお断りさせていただきたい。

1.特殊反応場の有効利用

2.水中で機能する有機分子触媒:環境調和型不斉合成手法の開発

2)

細胞内における「水」は、多種多様な生体物質の溶媒としてのみならず、反応物質として 反応にかかわるなど、生命活動の維持に重要な役割を演じる。一方、フラスコ内での合成化 学においても、試薬・促進剤・溶媒として「水」は機能しており、21世紀になりその重要性 が高まってきている。

3)

「水」を有機合成に積極的に使用するきっかけになったBreslowら によるDiels-Alder反応において、水中(H2O + LiCl)の方が有機溶媒中(isooctane)より約

1,800倍反応性が向上した。

4)

水中では疎水性相互作用が最も強く作用するため、周りが「水 分子」という特異的な環境下で疎水性反応基質がミクロレベルで凝集し、Diels-Alder反応が促 進されたと考えられている。一方、“On Water”

5a)

の理論的な考察はMarcusらによりなされ ており、基質の油滴と水相の界面で特別な相互作用があると考えられている。

5b)

つまり、 界面の水分子は六方晶氷Ihの表面構造と類似しており、水素結合可能な水素原子が界面に存 在する。この水素原子が水素結合により基質を活性化することにより、著しい反応加速効果 (ksurface / kneat = 1.5 x 10

5

ksurface / khomogeneous = 600)が観測された。しかし、発展途上

水 超臨界流体 ファインバブル マイクロ波 チューブフロー

 

(6)

4. 工業触媒注目技術

4-1

]工業触媒注目技術

環境負荷の少ないアクリル酸一段合成プロセスの開発

東亞合成(株)屠

新林

丹羽正雄

野村聡一

1.はじめに

地球温暖化、環境汚染、化石資源枯渇などの諸問題を解決するためには、ライフサイクル アセスメントの視点から既存技術の改良と環境保全との調和を図りながら、大元の出発原料 に遡ってまでも環境負荷の少ないトータルプロセスに転換する抜本的な技術革新が不可欠で ある。アクリル酸は、繊維・塗料、粘接着剤、電子関連部材や吸水性樹脂などのアメニティ ー製品に至る幅広い分野で用いられ、2016年の世界生産能力が800万トンにも及ぶ化学基幹 原料である。その製法は、原油精製からナフサクラッキングを経て得られるプロピレンを二 種類の触媒を用いて二段酸化する多段プロセスが主流である。しかし、ナフサクラッキング は二酸化炭素発生量が多く、その量は化学産業全体の発生量の 1/3 を占める。そこで、既存 のナフサクラッキングあるいはプロパン脱水素とプロピレン二段酸化とを組み合わせた三段 階の反応では無く、近年脚光を浴び

ているシェールガス由来のプロパン を直接原料として用い、プロパンか ら一種類の触媒による一段反応でア クリル酸を合成することができれば、 安価原料への転換による経済的効果 のみならず、二酸化炭素削減などに よる環境負荷低減効果も期待できる。 本文では、プロパン一段アクリル酸 の合成についてその技術背景、東亞 合成の取り組み並びに技術の達成状 況などについて概説する。

2.アクリル酸一段合成法の優位性

現行のアクリル酸製造は例外なく、プロピレンを原料とする選択酸化によって行われてい る。その製造プロセスは、二種類の触媒を用いる二段階プロセスである。第一段では BiMo 系複合酸化物触媒の存在下、プロピレンがアクロレインへ、第二段ではMoV系酸化物触媒存 在下、アクロレインがさらにアクリル酸へ酸化される。原料であるプロピレンはナフサのク ラッキングによるか、あるいはプロパンの脱水素によるが、プロピレンの製造を数えると、 いずれも三段階プロセスとなる。

CH2=CHCH3 + O2 → CH2=CHCHO + H2O 1)

CH2=CHCHO + 1/2 O2 → CH2=CHCOOH 2)

原油

クラッキング 精留

プロピレン

アクロレイン ナフサ

アクリル酸 シェールガス

分離

プロパン

アクリル酸

○環境負荷の少ないアクリル酸製造プロセス

○現状のアクリル酸製造プロセス

・省エネルギー ・CO2 、汚染物質低減 ・非在来型資源の付加

価値向上有効利用

脱水素・酸化 開発触媒

酸化 一段目触媒

酸化 二段目触媒

 

(7)

第一編 研究動向

2017

年度の海外の触媒技術動向

(株)三菱ケミカルリサーチ

大竹正之

1.世界の化学工業と触媒研究の動向 (p166)

2.石油化学分野 基礎原料 (p172)、脂肪族 (p176)、芳香族 (p182)、高分子合成 (p185)、その他 (p191)

3.石油精製分野 石油精製技術 (p198)、GTL天然ガス (p200)、バイオマス転換燃料 (p202)

4.有機合成分野 有機合成・有機金属触媒 (p204)、バイオベース化学品およびポリマー (p207)

5.環境触媒 (p215)

6.再生可能エネルギー、燃料電池 (p224)、二次電池・キャパシター (p229)、光触媒 (p234)

7.基礎触媒化学 (p235)、触媒材料 (p238)

8.触媒事業 (p239)

1.世界の化学工業と触媒研究の動向

米国・トランプ新政権のパリ協定(2016/11/04発効)離脱表明(2017/06/01)、英国のEU離 脱、中東産油国間の不和など政治経済面の不安定要因を多く抱えた2017年であった。化学産 業は高いGDPに支えられて成長が持続した。2016年の石油輸出国機構(OPEC)と非加盟国 の 協 調 減 産 合 意 に よ り 原 油 相 場 が 回 復 に 向 か い 、 メ ジ ャ ー ( 国 際 石 油 資 本 )、 ロ シ ア 国 営

Rosneftが7年ぶりの大規模増産に乗り出した。過去の多額投資が結実、2018年の生産ベース はさらに加速するとの見方が有力である。OPEC は原油減産を 2018/03 まで継続することを

2017/05/25 の総会で決定した(日経産業新聞、2017/05/29, p14)。石油メジャーは収益体質の 改善を目指し、コスト削減、投資計画削減とスリム化に向かう(日本経済新聞、2017/03/04, p7)。 一方産油国では脱原油依存を目指して化学投資が加速している。

欧米化学企業の2017年業績は過去最高の見通しである。米国では税制の抜本改革、30年ぶ りの大型企業減税法案が可決され、景気拡大が期待できる。世界のエチレン(ETY)生産の 高稼働が続いているが、北米、中東、中国で新設備が2017~19年に立ち上がる。世界のETY 供給能力は1,500万t/y増加する見込みで、北米市場で余剰となるPE、MEGの7割が中国市 場を目指すと見られている。しかし2017/10の米中首脳会談で米国から250万t/yのエタンの 長期輸出契約が成立、中国でエタンクラッカー新設計画が目白押しとなるなど、不透明感が 出てきた。IHS Markitは2018年にはETY生産能力が需要を上回ると予想する。米国のハリ ケーン被害、中国の環境規制強化、石炭化学の拡大と CO2増加、プラスチックごみによる海 洋汚染など、環境問題の重要性が高まっている。

シェールガス生産の影響

米EIA(Energy Information Administration)が世界のシェールガス、タイトオイルの確認埋 蔵量を発表しているが、中東諸国が統計に加わり、化石資源の豊富さが再認識される。米国 の製油所能力は2016年に2%増強された(AFPM発表)。OPECの協調減産、米シェールオイ ルの増産が続いている。ノルウェー・Rystad Energy の報告によると、世界の原油生産の 1/3

 

(8)

6. 2017年度の科学技術政策および触媒関連国家プロジェクトの動向

平成

29

年の科学技術政策動向および

触媒関連国家プロジェクトの状況

産業技術総合研究所

花岡隆昌

1 科学技術政策をめぐる動向

1.1 全体動向(概要)

平成29年度は「第5期科学技術基本計画(28~32年度)」の第二年度として、基本計画の 実現に向けた施策を始動した年となった。そして国の科学技術政策として我が国を「世界で 最もイノベーションに適した国」へと導くことを大目標に、成長戦略の重要な柱として科学 技術イノベーション活動の活性化、その能力の強化を図ることが強調された。特に基本計画 で示された未来社会の姿である「Society 5.0」

1

の実現に向け、「科学技術イノベーション総合 戦略 2017」(以下、総合戦略 2017)の策定や新たな措置等、様々なイノベーション政策が進 められた。

29年度の重要な事項として、官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)が創設されたこ とが挙げられる。さらにこれは戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)と相乗的に機能 させることで大きな貢献が期待されている。予算面では、GDP比1%という科学技術予算の 政府研究開発投資目標への道筋が議論され、Society 5.0の実現に資する科学技術予算の量的・ 質的拡大を目指すことが示されている。さらに30年度に向け、現在は分野ごとに打ち出され ている戦略内容をまとめる「統合イノベーション戦略(仮称)」の検討を進めることが明らか にされた。

1.2 総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の動向

「総合科学技術・イノベーション会議、以下(CSTI)」は、我が国の科学技術・イノベーシ ョン政策の企画立案と総合調整を行う司令塔であり、第 5 期科学技術基本計画では、その機 能強化と司令塔機能の拡充、また政策提言の機能充実が求められている。背景としては、政 府として掲げる「世界で最もイノベーションに適した国に」という目標の達成や GDP 名目

600兆円達成に貢献する科学技術イノベーションを、CSTI主導で強力に進めるという方針が ある

29年度は30年1月までに第29回から35回の7回のCSTI本会議が開催され、基本計画の 実現に向けた検討や新たな施策の議論が行われた。本年度の会議議題の主なものを表 1 に示 す。これらの会議を通じ、Society 5.0 に向けた科学技術イノベーション政策のフレームが議 論され、官民研究開発投資拡大プログラム実施に向けた体制づくり、生産性革命等の政策へ

1 Society 5.0

:狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く新たな経済社会であり、サイバー空間

とフィジカル空間を高度に融合させ、経済的発展と社会的課題の解決を両立し、人々が快適で活力に

満ちた質の高い生活を送ることのできる、人間中心の社会

 

(9)

1. 触媒工業の概況について

触媒工業の概況について

触媒工業協会

岩田泰夫

1.触媒の生産・出荷の動向

1.1 概 況

2016 年の化学工業は、エチレンの生産量が前年対比で 9%減少した。鉱工業生産指数は 約0.2%低下、また出荷指数は約0.9%低下となり、生産・出荷指数は共に低下した。過去の 流れを見ると2007年にピークがあり、リーマンショックにより2009年には対前年比21.9% 減、翌年には対前年比 15.6%増と戻し、その後は落ち着き、最近 5 年は動きが安定してい る。

このような背景の下で、2016年の触媒工業は、生産量・出荷量は増加したが、出荷金額 は大きく前年を下回った。生産量は5年ぶりに10万トンを超え、また出荷量は7年ぶりに

10万トンを超えた。過去を振り返ると2008年に最大生産量・出荷量・出荷金額を記録し、 翌2009年には大きく減少したが最近では比較的小さな動きとなっている。

環境保全用は、出荷金額で見ると自動車排ガス浄化用、その他環境保全用が共に大きく 減少した。一方の工業用は、出荷金額は石油精製用が大きく増加し、石油化学品製造用は 前年より大きく減少し、また高分子重合用はわずかに前年を下回った。結果的に工業用全 体では前年を下回った。

1.2 生産・出荷の動向

触媒の生産・出荷の動向を(図1)および(表1)に示す。2016年の生産量は約103,100 トン(前年対比 6%増)、出荷量は約 100,200 トン(前年対比 6%増)、出荷金額は約 2,994 億円(前年対比11%減)であった。

 

(10)

2.エンジニアリング会社から見た最近のプラントビジネスとプロセスの動向

エンジニアリング会社から見た

最近のプラントビジネスとプロセスの動向

株式会社

IHI

水上範貴

1.プラントビジネスの動向

本項の目的の 1 つは、エンジニアリング産業のプラントビジネス動向の中長期的なモニタ リングである。その目的に従い、ここでは業界誌の特集を参考にして2015~2016年を中心に エンジニアリング産業のプラントビジネス動向を振り返る。

1.1 概況 1),2),3),4)

世界経済は全体として回復基調にあるが、回復ペースは緩慢なものである。特に2016年の 実質GDP成長率は2008年の世界経済危機以降の8年間で2番目に低い伸び率であった。2016 年6月の英国EU離脱や11月の米国新大統領選出などの政治的な大変動に加え、シリア内戦 の長期化、世界各地で頻発したテロ事件などの影響により、不安定な経済状況であったこと が大きい。新興国のGDP成長率は2015年、2016年ともに前年よりも低下した。世界経済の 牽引役であったBRICsのうち、中国は高度成長を終えた“新常態”に移行、インドは為替変 動の影響で成長率が低下した。またロシア、ブラジルは資源価格下落の影響を受け2015年に マイナス成長、2016年も引き続き停滞している。

原油価格は2014年6月まで1バレル 100ドル前後で推移していたが、2015年度前半はお おむね50ドル台から40ドル台、さらに2016年2月には30ドル近くと急激に低下した。そ の後は上昇に転じ、OPEC定例総会での8年ぶりの原油減産合意を経て、2017年3月時点で は1バレル50ドル前後で推移している。エネルギー産業における設備投資の活性化には、エ ネルギー価格の更なる回復が期待されるが、価格の回復により北米のシェールオイル生産者 が増産に転じて供給が増えるため、上値が重い状況が続いている。

日本経済は実質GDP成長率が2015年度は0.8%、2016年度は 1.2%と緩やかな回復傾向に ある。製造業の設備投資が好調であり、特に都市開発分野は高い受注水準で推移した。個人 消費についても、有効求人倍率の改善や完全失業率の改善といった堅調な雇用・所得情勢、 また 2015年10月に予定されていた消費税増税の見送りを受けて持ち直してきた。なお対ド ルの為替レートについて、2015 年は 120.13 円と前年よりも円安傾向となったが、2016 年は

109円と円高となり、日本企業の輸出競争力の観点ではマイナスに作用した。

2016 年 1 月にイラン核開発問題に関する欧米の経済制裁が解除されることになったほか、

2015年12月に人口6億人を超えるASEAN経済共同体が発足したことにより、これらはエン ジニアリングビジネスにとっての有望市場として期待される。日本政府はアジア地域ほかの インフラ需要にこたえるべく、2015 年 5 月に「質の高いインフラパートナーシップ」、2016 年 5 月に「質の高いインフラ輸出拡大イニシアティブ」を公表した。2 つの政策パッケージ に盛り込まれた施策は全て措置済みであり、日本企業のグローバル競争力強化に向けた積極

 

参照

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